狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ 稲荷鬼王神社 東京都新宿区百人町1-11-16
 建立年 明治36年(1902)  鎮座位置 拝殿前
 石工 不明  参拝日 2017年1月17日(火)
妻と共に、新宿三丁目にあるテアトル新宿という映画館にて、2016年末からヒットを続けているアニメーション映画「この世界の片隅に」を観賞に行くついでに、大久保駅までに足を運びながら、数社神社参拝をしてまいりました。

新大久保駅から新宿へ向かう途中、新宿ゴールデン街手前に鎮座するのが、こちらの稲荷鬼王神社。なんでも全国で鬼の王を冠した神社はこちらだけとのこと。何とも強そうな神社です。

拝殿前に鎮座するのは、明治生まれの素晴らしい江戸流れ。台座に石工の銘は刻まれていないが、恐らく江戸の名工 青山石勝の作品と思われる。渋谷区にある渋谷氷川神社に鎮座する青山中村勝作の江戸流れが明治26年と同時期に建立されたものであり、狛犬の造りはもちろん、子狛犬も実にそっくりであることから、この青山中村勝の作品と思われる。しかしなから、氷川神社の建立から10年後の作品ということで、狛犬の完成度は、こちらの鬼王神社のほうが数段上であろう。

個人的に青山石勝の作品で抜群に気に入っているところは、犬歯のあたりの口角をちょっと挙げた上唇。この粋なアレンジがいかにも江戸っ子らしい洒落が聞いていると感じる。毛並みの文様も計算されつくしたかのように配置され、実に柔らかく表現されている。
阿吽共に足元にいる子狛犬も実にユニーク。阿側は持った玉をカジカジして遊んでいるし、吽側に至っては親の顎髭にしゃぶりついている。どちらもかなり大きな子狛犬なのだが、まだまだ甘えたい盛りであることを表現されており、この青山石勝が、子供に対して、非常に思い入れの強い石工さんであることが伺える。江戸流れは、台座に狛犬の尾の先をかけて彫刻することで、狛犬と台座の一体感を演出するのが大きな特徴だが、こちらの狛犬、10枚目の写真のように、足の爪が台座にかかっているんです。この細かな仕事ぶりは、まさにプロ。頼まれてもいないのに細部にこだわる職人気質です。
台座にも見事な狛犬のレリーフが彫られており、相当な町の実力者が、財を投じて作り上げた狛犬であり、頼まれた石工も力の限り彫り上げた狛犬ということなのだろう。どんな角度から見ても絵になる狛犬。思わず50枚くらい写真撮ってしまいました。