狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ 新田神社 東京都大田区矢口1-21-23
 建立年 不明  鎮座位置 拝殿横
 石工 不明  参拝日 2016年03月22日(火)
久方ぶりの東京狛犬散策の舞台は大田区。京浜東北線「蒲田駅」を下車後、東急池上線に乗り換え、「久が原駅」を下車。ここから東急多摩川線「鵜の木駅」~「下丸子駅」~「武蔵新田駅」までの約5km徒歩内に、7社の神社が隣接。かなりのヒット率で江戸狛犬に出会える素晴らしい狛犬散策路を発見することが出来た。当日は、残念ながらかなりの晴天に恵まれてしまい、撮影環境としては厳しいものがあったが、様々な江戸流れを観賞するのに、おススメのコースである。

東急多摩川線「武蔵新田駅」から3分ほど、拝殿前には真新しい招魂社系狛犬(写真下)が鎮座されていますが、是非拝殿を見て右側へお廻ください。こちらには、「うなる狛犬」なる恐ろしげな語り書きが添えられた江戸流れが一体鎮座されています。

狛犬は、口の開いた阿狛犬のみが鎮座。説明書きによると、戦火で吽狛犬は破損してお亡くなりになってしまったとのこと。
こらちの狛犬、なんと「うなる」らしいのです。謀略を企てた足利基氏家臣畠山一族の者、またその血縁者が新田神社付近に来ると、決まって雨が降り、この狛犬がうなったとのこと。足利基氏は、南北朝時代までさかのぼる1300年代の武将。さすがにこの因縁で江戸末期に作られた狛犬が唸るというのは、少々強引な話ではある。

残念ながら、吽側が空襲により戦死され、隠居状態の一体しかない狛犬が、この因縁のおかげで、大切にされているということを考えるに、この因縁話もまんざらでもなく、狛犬保全の観点からは誠にありがたいことなのである。

こちらの狛犬、中々の逸品。彫刻の彫りも深く、タテガミや尾は、毛先まで丁寧に仕上げられている。顎が長く獣らしい顔立ちの親狛犬に対して、足元に伏せる子狛犬は、口元が大きく後ろに裂け、まるでカエルのようで、なんとも可愛らしい。柔らかい砂岩で作られた狛犬のようで、かなり痛みが激しいこともあり、このまま、誰も触れない(っていうか触ると祟られそう?)処で静かに余生を過ごしてほしい。