狛犬大図鑑  
 分類 蹲踞狛犬 楢葉八幡神社 福島県双葉郡広野町上北迫関山
 建立年 明治30年(1897)9月  鎮座位置 拝殿前
 石工 安達郡戸澤村 三浦源吉  参拝日 2016年03月5日(土)
「東北に春を告げる町」と呼ばれる、広野町。住民の憩いの場である二ツ沼総合公園の側、国道六号線沿いの明治生まれの鳥居をくぐると、長い参道の先にある楢葉八幡神社には、個性的な蹲踞狛犬がお出迎えしてくれます。

礼儀正しい蹲踞の姿勢は、主人を待つ忠犬そのもの。恐らくは、犬をモデルに彫り上げた狛犬なのだろう。首の傾け方、阿の口の開け方が、いかにも犬っぽい。綱のような太い眉毛の先には、可愛くカールした巻き毛。かたつむりのようにきれいに同じ方向に巻いた毛並みは、均等な大きさでバランスよく配置されており、左右は見事なシンメトリ。石工の丁寧な仕事ぶりが随所にうかがえる。
身体に張り付くように、三層に重ねられた尾は、先に向かってしなやかに伸び、美しい紋様を描き出している。
顔の周りにも細かい毛並みを表現した彫刻がなされており、正面から見た顔立ちは、なんだかオットセイのよう。

どことなく物悲しいそうな、表情が実に良い。個性的な狛犬が多い福島県の中でも、必見の狛犬である。

台座には、石工の名前として 三浦源吉と刻まれているが、これは参道入り口の見事な明神鳥居にも同じ石工の名前が刻まれている。石工の名前の横に彫られている「安達郡戸澤村」とは現在の福島県二本松市あたりらしい。この狛犬が鎮座している双葉郡広野町からは、陸路で70kmほど離れている。なぜこれほど離れた村の石工に頼んだのか?二本松市には、同じ石工の作品が鎮座しているのか。
狛犬ファンの興味は尽きない。