狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ 神明神社(新宿) 千葉県館山市新宿
 建立年 大正九年(1920)九月  鎮座位置 入口鳥居前
 石工 石勝  参拝日 2015年12月19日(土)
安房国を支配した里見氏の所領地であり、館山城の城下町であった館山市には、多くの神社が鎮座しており、江戸文化の流れを汲んだ素晴らしい江戸流れが多数鎮座している。その中でも、群を抜いて素晴らしいものの一つが、この神明神社の江戸流れであろう。

やや頭でっかちのずんぐりむっくりな体格ながら、顔の造作からたてがみまで、見事な彫刻が施されている。特に注目すべきは彫刻による彫の深さ、高低差であり、特に江戸流れの命であるたてがみは、よくぞここまで深く彫り込んだと関心させられる。
一つ一つの彫刻も丁寧であり、写真にあるように、手の平の甲の部分には柔らかな毛並みまで表現されており、足の裏には肉球までが彫り込まれている。瞳まで表現された目は、どの角度から見ても、参拝者ににらみを利かせ、野性味のある顔立ちは、実に獣臭漂う勇ましさで、個人的にも好みの狛犬。阿吽共に、まるで何かを手招きしているかのように前足が浮いており、まるで招き猫のようでもある。

参拝時、神社の前に住まれている初老の男性とお話しさせていただいた。自分が、狛犬散策が趣味であること、こちらの狛犬が全国の狛犬に比べても素晴らしい出来栄えであることをお伝えした処、氏子の方だったようで、大変喜んでいただき、ご自宅から、家宝の木彫りの朱雀の彫刻の写真まで持ってきて見せていただいた。
台座に書いてある石工の名前「石勝」をおたずねしたところ、これは「いしかつ」と読むそうで、近所にある石勝石材店のご先祖様が作られたものと教えていただいた。地元にゆかりのある方からのお話は、狛犬散策には、何よりも勝る宝の山であり、このような貴重なお話をしていただいた、初老の男性に、改めてここでお礼を申し上げたい。