狛犬大図鑑  
 分類 ご隠居狛犬 相浜神社 千葉県館山市相浜42
 建立年 慶応元年(1865)仲冬吉辰  鎮座位置 拝殿左横
 石工 不明  参拝日 2015年12月19日(土)
館山には、以前単身赴任で一年半ほど住んでおり、当時は、休みの旅にロードバイクに跨り、房総の海沿いの道を走りこんでいた。相浜神社は、館山駅の単身赴任先から、ちょうど40kmコースを走るときの分岐点にあたる場所にあった神社なのだが、当時は、神社にも狛犬にも関心がなく、まったく気が付いていなかった。
狛犬散策をするようになったころ、二年前に相浜神社に訪れたことがあった。当時はまだ真夏の日差しが残る九月中頃。拝殿横に鎮座する引退した江戸流れ狛犬を発見し、その素晴らしさに感動しつつ、撮影に臨むも、強い日差しに阻まれ、狛犬に強い影が出来てしまい、中々撮影できず、更に足元には、めちゃくちゃ噛みついてくる蟻が容赦なく草履の足に上ってくる始末。周りには、スズメバチのようなものが飛び回っており、まったく落ち着いて撮影できず退散した因縁の場所でもある。
今回、万全を期し、12月の参拝を選んだのは、もちろん、やぶ蚊、蜂、蟻などの昆虫の妨害がないことを見計らってのことである。
当日は、残念ながら、素晴らしい日差しが降り注いでいたのだが、そこは、同行していた妻が文字通り身体を張って影を作ってくれたのでなんとか無事二年越しの撮影に成功することができた。妻には、ただひたすら感謝である。

なぜそこまでして、自宅から120km離れた相浜神社に二年越しに足を運んだかというと、自分的に、好みのストライクゾーン直撃の江戸流れだからである。野性味のある厳しい顔立ち、鋭い眼光、顎のあたりの野獣臭が実に素晴らしい。そう個人的に、けものな感が強い狛犬が大好きなのである。この狛犬の野獣感というか、獣感は、中々お目にかかれない高いレベルなのである。
残念ながら、阿側は、下あごがごっそり削げ落ちているのだが、口元に加えていた牡丹の花がまだ残っている。完全な形で会いたかったものである。折れた足などには、丁寧に補修された跡が見られる。今は引退し、拝殿の脇に追いやられている身であるが、きっと大切にされてきた狛犬なのであろう。是非参拝の折には、拝殿横の草むらまで足を運んでみてあげてほしい。
ちなみに妻は、私の為に影を作るために、ジョロウグモが頭の上に乗りそうになっていた。改めて感謝申し上げたい。

当日、参拝を終え、鳥居前でお辞儀をして帰ろうとしたら、恐らく近所の氏子の方々が「参拝ありがとうございました」と声をかけていただいた。お礼を言われたことに対しての感動とともに、この神社が自分たちの神社であり、自分たちの神様に参拝に来てもらったことをすっとお礼を言える、そんな環境で暮らす人たちを、ものすごくうらやましく感じてしまった。私も自分の産土神社でこのような発言をしてみたいものである。