狛犬大図鑑  
 分類 江戸尾立 神明神社 千葉県市川市本行徳
 建立年 文化二年乙丑(1805)九月吉日  鎮座位置 拝殿前
 石工 不明  参拝日 2015年11月10日(火)
東西線妙典駅から徒歩10分ほどの行徳街道は、江戸末期以降の古い建物がまだ残っている歴史ある通りであり、数多くの寺・神社が街道沿いに鎮座している。残念ながら現在は、せっかくの観光コンテンツを生かし切れておらず寂しい街道となっているが、妙典駅から行徳駅まで、旧道沿いを散歩すると、様々な歴史ある建築物とともに多くの狛犬たちにも出会うことが出来る。

行徳街道で現存する最古の狛犬。文化二年は、江戸幕府がロシア通商要求を拒否した年。翌年には江戸の三大大火の一つ、文化の大火が発生している。200年以上前から、この行徳の地で人々の生活を見守り続けた、歴史ある狛犬なのである。
そんな歴史の重みを微塵も感じさせない、ひょうきんな表情。どこを見ているかわからない宙を見つめる瞳、赤く塗られた口は不気味な笑みを浮かべており、なんとも個性的な狛犬である。一見すると、単なる変わり種の狛犬に見られてしまいそうだが、中々どうして、実に神殿狛犬のルール通りに造られた伝統的な作法に基づき作られている。

頭上には、獅子狛犬の定石通り、吽側(右)には角が冠された狛犬、阿側(左)は宝珠が冠された獅子となっている。
前足は、正面から見てシンメトリーになるように、左右の前足が前後しており、ユニークな顔立ちからは想像もできないが、実に伝統に従って作れた狛犬であることがわかる。

この狛犬は、いわゆる江戸尾立と呼ばれるタイプの江戸独特の狛犬であるが、その大きな見どころは、尾の文様であり、是非参拝の折には、狛犬のお尻側にも回ってみてほしい。こちらの狛犬は、三つの渦を中心に複雑な文様が彫刻されており、実に見事。狛犬の保存状態も良く、末永く、見守っていきたい狛犬である。