狛犬大図鑑  
 分類 江戸尾立ち(風) 皇大神社 山形県米沢市中央2
 建立年 不明  鎮座位置 拝殿前
 石工 不明  参拝日 2015年10月10日(土)
前泊が必要な米沢市への出張の折、前日休日を充て、早朝より仙台駅から仙山線→米沢線を乗り継ぐこと2時間半。米沢駅前でレンタサイクルを借り、事前に調べておいた約20社の米沢駅周辺の神社を五時間かけて散策してまいりました。
途中上杉博物館で、上杉鷹山先生の伝記映画を観賞。それが、後ほどの米沢狛犬散策の大きな謎解きへのヒントとなりました。

米沢市の神社散策は、最悪のスタート。最初の10社の内、狛犬が鎮座していたのは、一社のみ。それも昭和生まれの中国産岡崎型狛犬のみ。市内で最も大きな上杉神社にも、大正生まれの招魂社系狛犬が一対のみ鎮座。江戸生まれの狛犬にまったく出会えず。この現象を、上杉鷹山先生の影響を考え、自分なりに推理してみました。

上杉鷹山が、財政難に苦しむ米沢藩を救うため、自らも倹約に励み、藩の改革に取り組んだのが1700年代後半から1800年前半。まさに江戸では庶民による狛犬文化が花開き、狛犬奉納の一大ブームが巻き起ころうとしていた時期と重なります。恐らく、鷹山の倹約を勤しむ改革により、当時米沢藩では、庶民が狛犬を奉納するなどというような、贅沢は、御法度的な空気であったのではないだろうか。山を越えた福島県では、多くの狛犬が江戸~明治期に奉納されていることからも、決して狛犬文化が伝承されないということはなかったと思われることから、ここに米沢市に古い狛犬がいないことを、自分なりの解釈で裏付けてみたのだが、皆さまいかがでしょうか。

ようやく11社目に見つけた狛犬は、年代不明の江戸尾立風の蹲踞狛犬。身体の大きさからして、顔が妙に大きく、不格好だが、愛嬌のある姿。何よりようやく見つけた狛犬だけに、愛しいったらありゃしない。
吽側の狛犬には大きな牡丹の花が二輪あしらわれており、台座まで花びらがかかる見事な彫刻が施されている。石の風化具合から見て、比較的新しい、明治後半から昭和初期あたりの作品ではないだろうか。尾の文様、顔周りの毛並みの表現から、東京周辺に見られる「江戸流れ」「江戸尾立ち」を、石工が模したことが伺える。若干、技術的に不慣れな面も見られるが、全体としては中々の出来栄えではないだろうか。