狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ 鎌ヶ谷八幡神社  千葉県鎌ケ谷市鎌ケ谷1-6-1
 建立年 昭和十一年(1936)三月  鎮座位置 末社
 石工 不明  参拝日 2015年07月23日(木)
鎌ケ谷八幡神社が鎮座する、新京成電鉄にある「鎌ケ谷大仏駅」前には、その駅名の通り、鋳造青銅製の大仏が鎮座している。この大仏、駅名を冠している割には、思いの他小さいことで、逆に有名な大仏であり、台座を含めても2m30cmという、鎌倉の大仏とは比べようもない可愛らしいさなのだが、中々、実際に見てみると、安永五年(1776年)に建立された素晴らしい大仏さまである。小ささゆえに、がっかりされるケースも多いようだが、大きな心で大仏を拝んでいただきたい。

で、我々狛犬ファンにとっては、鎌ケ谷大仏の正面にある、この鎌ケ谷八幡神社こそが、真の目的地。
正面鳥居横には、真新しい昭和岡崎型の狛犬が鎮座しており、すでに古い狛犬と入れ替わってしまったのかと、心配していたが、長い参道途中には、二対の江戸流れ、そして、本殿横の末社には、素晴らしい小型の江戸流れと、計4対の狛犬が鎮座されている。

本殿横の末社は常に薄暗いようで、末社前に積まれた石も狛犬も、かなり苔むしている。本殿を参拝した後、見過ごしてしまいそうな小さな末社であるが、そこに鎮座する小型の江戸流れは、抜群の出来栄えであった。
猫ぐらいのサイズの狛犬だが、細部に至るまで、丁寧に彫り込まれており、都内の素晴らしい江戸流れの出来栄えに匹敵する高い石工の技術力を伺わせる。美しく流れるタテガミをこの小さい狛犬で表現していることにも驚きだが、それ以上に素晴らしいのは、吽は湧き出る泉のように、阿は渦巻く海峡のようにデザインを変えた、見事な尾にある。阿吽でこれほど尾の造作を変えた狛犬は、そしてどちらも素晴らしい出来栄えのものは、中々お目にかかれない。
更に驚くべきは、この狛犬の建立年である。江戸流れを中心とした江戸狛犬のピークは江戸末期から大正期にかけてであり、そこから戦時中ぐらいで、江戸流れを彫り上げる技術は、ほぼ失われてしまう。恐らくは、江戸流れを彫り上げられる晩期の職人の手によるものであろうが、昭和初期に、これほどの狛犬を彫り上げられる職人が、千葉県の木下街道沿いに居たとしたら、この辺りの狛犬には、まだまだ隠れた銘品がある可能性が高いということである。これからの狛犬散策が実に楽しみである。