狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ 大鳥神社  東京都目黒区下目黒3
 建立年 大正九年(1920)五月吉日  鎮座位置 参道途中
 石工 溝口石工 内藤慶雲  参拝日 2015年07月9日(木)
JR山手線 目黒駅から徒歩15分ほど、昭和の香り漂う賑やかな目黒の商店街を抜けたところに、静かにたたずむ大鳥神社には、美しいタテガミの江戸流れが鎮座されていました。

美しいたてがみが、風になびき、少しだけ乱れているような、色っぽいまでに繊細な毛先の表現。大きな花、ぷっくりとした頬、きらりの光る犬歯が、凛々しくも可愛らしい。この独特の狛犬の表情は、明治期から大正期に都内で活躍した名工、「青山 石勝」の作品に非常によく似ている。しかしながら、台座には、「溝口石工 内藤慶雲」と記載されている。

 
 渋谷 氷川神社  石工 「青山 中村勝」  千葉県佐倉市 岩富熊野神社 石工「東京青山 石勝」
毛並みの美しさ、丁寧な掘り込みは、今までにみた石勝の作品の中でも抜きんでて素晴らしい。
石勝の関係者なのか、それとも優れた模倣なのか、またまた単に同じ人物が単に別の名前で掘られたのか。いずれにせよ、彫刻の細やかさでは、他の石勝作品を大きく凌駕しているのは、まぎれもない事実である。
もう一つの仮説としては、同じ「石勝」という石工が彫ったものであり、単に狛犬の依頼金の差が、そのまま出来栄えに比例しているということも考えられる。他の都内の狛犬でも同じ石工が同時期に彫り上げながら、出来栄えに大きな差がある狛犬が見受けられる。考えてみれば、奉納する人たちが出せるお金には、それぞれに限りがあり、頼まれた石工も当然価格に見合った出来栄えで彫り上げるのであり、そこに彫刻のきめ細やかさ、丁寧さに差が出るのは当たり前なのだ。その意味でも、狛犬というのは、単なる芸術作品ではなく、庶民の文化とお財布事情から生み出された大衆文化のひとつなのだろう。