狛犬大図鑑  
 分類 獅子山  成田山新勝寺  千葉県成田市成田山1
 建立年 不明  鎮座位置 仁王門先、亀の池からの階段
 石工 不明  参拝日 2013年9月4日(水)
本来、自狛漫における狛犬探訪は、「神社に鎮座している狛犬」が大前提であり、時折見かけることのある「お寺の狛犬」は、観察対象から除外させていただいていた。しかしながら、江戸の町火消が奉納したド派手な青銅狛犬を筆頭に多くの狛犬が成田山を崇拝する江戸周辺の庶民から奉納された成田山は、まさに千葉県随一の狛犬天国であった。
関東に名をとどろかせる新勝寺に、狛犬を奉納するということは、庶民にとってとんでもないステイタスであり、また狛犬を依頼された石工にとっては、この上なく名誉な仕事であると同時に、最高の彫刻を彫らなければならないプレッシャーがあったのであろう。新勝寺に並ぶ狛犬は、その全てが、都内も含めても屈指の技術力、造形力、そして奉納した方々と石工の想いが詰まった素晴らしい狛犬たちである。

総門から「江戸流れ」「獅子山」「江戸尾立ち」「青銅江戸流れ」と絶品狛犬を連続で参拝し、すでにお腹いっぱいの状態だったが、階段を上る途中に鎮座するこの獅子山の迫力を前にしてしまうと、他の狛犬の感動すら薄れてしまう。

大本堂へ続く階段の落差を目いっぱい使った獅子山はねもはや傾斜全体を山に仕立てた大迫力。残念ながらこの獅子山のずば抜けたスケール感を写真に収める技術は私にはありませんでした。是非現地でご覧になってほしい。

山の中腹に鎮座する親狛犬の造形は、都内の絶品江戸流れと比べても何ら遜色のない一級品。参拝者を見下ろす険しい表情は、近くで見てみると柔和にも見え、参拝者の気持ちを反映してあらゆる表情に変化していく。子落としといいながら、右側の子狛犬は明らかに這い上がる気はさらさらなく、兄弟で遊んでいたり、逆に左側の子狛犬は、どうすれば登れるのかオロオロと考え込んでいるかのようで、小さなドラマが獅子山全体で表現されている。

これほどの迫力ある狛犬だが、参拝者は階段を上り下りするのに夢中で誰も気が付かない。私が撮影していたら、女の子が二人で、「こんなとこに狛犬がいた!」と驚いていた。狛犬って注意してみないと、不思議と目に入らない、そして、誰もが狛犬に注目していないことを痛感させられた。こんなに素晴らしい狛犬があなたの目の前にいるのに!と叫びそうになりました。
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