狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ  成田山新勝寺  千葉県成田市成田山1
 建立年 嘉永三年(1854)九月二十八日  鎮座位置 仁王門の先、亀の池前
 石工 不明  参拝日 2013年9月4日(水)
本来、自狛漫における狛犬探訪は、「神社に鎮座している狛犬」が大前提であり、時折見かけることのある「お寺の狛犬」は、観察対象から除外させていただいていた。しかしながら、江戸の町火消が奉納したド派手な青銅狛犬を筆頭に多くの狛犬が成田山を崇拝する江戸周辺の庶民から奉納された成田山は、まさに千葉県随一の狛犬天国であった。
関東に名をとどろかせる新勝寺に、狛犬を奉納するということは、庶民にとってとんでもないステイタスであり、また狛犬を依頼された石工にとっては、この上なく名誉な仕事であると同時に、最高の彫刻を彫らなければならないプレッシャーがあったのであろう。新勝寺に並ぶ狛犬は、その全てが、都内も含めても屈指の技術力、造形力、そして奉納した方々と石工の想いが詰まった素晴らしい狛犬たちである。

絶品狛犬揃いの成田山でもひと際目に留まるのが、この江戸火消しが奉納した青銅江戸流れ。青銅狛犬は戦時中に、徴収されてしまったものが多く関東近隣でもあまり残っていないが、成田山のこの狛犬は、誰が見ても只者ではない迫力故に残されたのだろうか。
金色の毛並み、派手な江戸勘亭流の文字が彫り込まれた台座、奉納した火消したちが「成田山で一番おれたちの狛犬を目立たせよう」と、完全に狙って作らせたとしか思えない。派手だが、決して絢爛さが嫌味になっていないのは、職人の手腕。あらゆる角度から眺めても、耐えうる美しい造詣、筋骨の表現力など、隙のない逸品。しかし、成田山で最もお気に入りとなった狛犬は、この派手派手な狛犬の後ろに控えているのであった。
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