狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ  櫛引八幡宮 青森県八戸市八幡字八幡丁3
 建立年 天保六年(1835)七月吉日  鎮座位置 南門前
 石工 江戸石工 栗屋勘○  参拝日 2013年10月20日(日)
青森県出張の折、偶然通りかかった櫛引八幡宮を参拝。
当日は、冷たい雨が降り注いでおりましたが、歴史ある櫛引八幡宮が雨のおかげで、更に厳かさが増して感じられました。

南門前に鎮座し、参拝者を迎えてくれるのは、江戸流れと呼ばれるタイプの狛犬。
蹲踞の姿勢、高く彫りだされた巻き毛、そして石工の技術の高さを魅せる台座へと流れる尾(狛犬と台座を一つの石からくり抜いたことを見せつけるための江戸流れ独特の表現方法)。私の自宅がある千葉、東京でよく見かける江戸流れに、まさかこの青森県八戸市でお目にかかれることになろうとは。
台座には、「江戸石工 栗屋勘○」と刻まれており、江戸の石工が彫り上げ、青森へ海路で運ばれたものと推測される。
「願主 石橋氏」とも刻まれており、この狛犬が青森の地に奉納された経緯を勝手に想像してみると
1.八戸藩出身の方が、江戸で成功され、自分の産土神社(生まれ故郷の神社)に、狛犬を奉納
2.八戸藩在住の方が、当時東廻海運でつながっていた江戸の石工に狛犬を発注して奉納
のいずれかと考える。

天保三年は「天保の大飢饉」が発生し、八戸藩も大きな混乱に襲われ、天保五年には久慈の農民が八戸城に押し入る大きな一揆騒動が起きている。狛犬が奉納されたのが、天保六年となっていることから、恐らく、大飢饉の混乱がある程度収まった中、誰かが平和を願い奉納されたのだろう。

青森県に奉納された、江戸石工の手による江戸流れ狛犬。
一対の狛犬から、その時代を生き抜いた庶民の思いをひも解いてみることも、狛犬ファンの楽しみ方なのである。

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