狛犬大図鑑  
 分類 江戸流れ  岩富熊野神社 千葉県佐倉市岩富465
 建立年 大正二年(1913)二月二十日  鎮座位置 拝殿屋内に鎮座
 石工 東京  青山 石勝刻  参拝日 2014年8月19日(日)
単身赴任先の仙台から、久々に千葉自宅に帰ってみると、そこは東北ではめったにお目にかかれない灼熱地獄が待ち構えておりました。東北の涼しさに慣れた私には、この暑さを耐える忍耐力が備わっているはずもなく、グダグダになりながら、とろけそなぅ脳みそには、なぜか約10年前に住んでいた千葉県佐倉市にあったラーメン屋のおいしい冷やし中華が浮かんでまいりました。この暑さを払しょくするにはこれしかないと思い立ち、急きょ、家族を引き連れ自宅から40kmほど先の佐倉市へ出発。懐かしい街並みを見ながら、ふとカーナビに目を向けると、地図上に神社マークを発見。当然のようにルートを外れて神社に向かう私に対して、狛犬観察で普段から振り回されているかみさんと子供は、半場あきらめ顔で、私の参拝におつきあいいただけた。

住宅街から離れた一角に鎮座するこちらの熊野神社に到着すると、遠目からでも出来栄えの良さが伝わる江戸流れが拝殿前に鎮座。神社を守り続ける狛犬たちは、厳しい表情のものが多いが、こちらの狛犬は、どこかに柔らかさ、優しさを感じさせる表情を見せている。この独特の顔の肉感の表現は、都内で何度か見たことがあると、感じつつ、台座周辺を見渡してみると、狛犬の足元の台座に「東京 青山 石勝」の名が刻まれていました。青山 石勝刻は、都内屈指の狛犬作りの名工。数々の名狛犬を生み出した石工の作品が、この千葉県佐倉市の地で、お目にかかれるとは!これだから狛犬散策は、止められない。

阿吽共に子取りとなっており、吽の子狛犬は、ひっくり返り、阿の子狛犬はしゃぶりつくように、球と戯れている。阿吽共に、背中にも子狛犬が配置され、計四体、どの子供らしい愛らしさと今にも動き出しそうな造形となっている。
また青山石勝ならではの、素晴らしい尾の毛の流れ方が見事。ふっさりとした毛が狛犬の尾の後方から身体の中心にかけて表現されており、風になびきそうな繊細な彫刻が施されている。おそらく現在この神社を定期的に手入れをする人がいないようで、狛犬の表面には、ぴっちりと昆虫の卵のようなものが付着していて非常に気の毒である。都内の狛犬は、空襲で黒く焼け焦げたものが多い中、こちらの石勝刻の銘品は、ほぼ無傷の状態で100年間、ここに鎮座しているのだから、誰が労わってあげてほしいものである。
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